モーツアルトで頭が良くなるって嘘。幼児教育における音楽の影響

賢くなる音楽

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賢くなる音楽ってあるの?

『就学前の幼児期に大量の英語を聞かせるとバイリンガルになる、モーツァルトの音楽を聞かせると頭の良い子になる』

幼児の親御さんなら、ネットや雑誌などで幾度と聞いたことがあると思います。

でもこれって本当なのでしょうか、それにいったい誰が言いだしたのでしょう。

原因を探ってみることにしました。

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その発端は

1993年にカリフォルニア大学アーバイン校の心理学者フランシス・ラウシャーらが学術誌「ネイチャー」に発表した「モーツァルトを聞くとスタンフォード・ビネー式知能検査の空間認識テストにおいて高い成績を示した」とする一つの研究結果でした。そしてその効果は「モーツァルト効果」と名づけられ、新聞等で広く報道されたのでした。

発端はこれだったのですね!

ただし、この続きがあります。

この効果は音楽を聴いて10分から15分程度だけ見られる限定的なものである、と同時発表もされているのです。

あららモーツァルト音楽を聞かせると頭の良い子になる、とはお世辞にも言えないものですね。

しかし、どんなことも商売にしたい世界中の企業が、この情報に飛びついたのでした。

アメリカでは、拡大解釈されて、エイズや糖尿病、各種アレルギーにも効果があると宣伝したCDや本まで販売され空前の一大ブームになったのだそうです。

すごいですね、エイズに効く、とまで言ってしまってまたそれを信用した人がいるのかどうか。。。。?

もちろん、日本も黙ってはいませんでした。

その流れに乗って幼児教育教材の販売や開発をしている企業が様々なモーツァルト関連の教材を発売し、CDやビデオなどは売れに売れて大ブームになりました。

モーツァルト効果は嘘だった

しかしなんと!!

2007年にドイツ教育省は「モーツァルト効果は存在しない」と結論づけた研究結果を発表したのでした。

その後も次々と否定する論文が出てきています。現在もこの問題は、論争が続いていて決定的な答えはいまだに無い状況なのですが、

結局「モーツアルトを聞くと頭が良くなる」は真実ではないことが証明されたのでした。

これが「モーツァルト効果は存在しない」研究結果概要です http://www.nature.com/news/2007/070409/full/news070409-13.html

私自身も、モーツアルト=知育音楽 と刷り込まれた世代なので、この真実を知った時は少なからずショックでした。

だったら、音楽は知育と関係ないのか、というとそんな事はありません。詳しくは「音楽を聞く」だけでは知能が発達しない?

そもそもの空間認識能力(空間把握能力)が優れた人は、IQも高い傾向にある。だから「モーツァルトを聞くとスタンフォード・ビネー式知能検査の空間認識テストにおいて高い成績を示した」=IQが高くなる。と一方向からの見解で広まったことだったのですね。

そうです、人は誰しも、頭がいい、頭の切れる人だ、と他人から思われたいものです。だから子供にそうなって欲しいと親なら思うでしょう。

親心から生まれた神話のようなものだったのですね。

時代は変わりました、現在IQが高いこと、はいかなる仕事をする時にそれだけで有利になることは決してありません。

東大大学院を卒業しても仕事に就けず25歳にして人生初めての挫折を味わったFさんの話を以前にしましたが、彼もIQがとても高い人であらゆる分野の知識を持っていて、要領のいい人です。

彼がなぜ会社に適合しなかったのでしょうか

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それはIQでは解決できないEQ、SQが整っていなかったのです。

今社会で問われているのはIQの他に

  • EQ「Emotional Intelligence=感情的知性、心の知能指数」
  • SQ「Social Intelligence=社会的知性」
  • HQ 「Humanity Quotient=人間性知能」
  • PQ「Potentiality Quatient;=問題解決能力の指数」(情熱指数:Passion Quotient)
  • CQ「Curiosity Quotient=好奇心指数」

CQは「Children Quotient(子ども力指数)」とも言われ

米国の著名コンサルタントであるアラン・グレジャーマンが著書『人はみな「ビジネスの天才」として生まれる』の中で提唱している概念で、ビジネスで成功するためのヒントは子どもから得られるとし、本来誰もが子どもの頃に持っている以下の13の力が重要だということを述べている。

1. 遊ぶ力
2. 熱中する力
3. 焦点を絞る力
4. 急がせる力
5. リーダーシップをとる力
6. 驚嘆する力
7. 好奇心を抱く力
8. 質問する力
9. 挑戦する力
10. 創造する力
11. 参加する力
12. 居心地を良くする力
13. やり遂げる力

この概念には、上述の創造力や好奇心、熱意も包含されている。また、遊ぶ力や驚嘆する力、質問力、挑戦力なども、インターネットが普及しあらゆる情報にアクセスしよう思えばできる現代社会において、非常に重要だという意見には納得がいく。

アゴラ 言論プラットフォームより引用

と解説されています。

面白いですね。

 

頭がいいだけでは生きていけない、コミュニケーション能力や好奇心、人間が本来持っている人間力を鍛えることが大切なんだ、と社会全体が動いて行っていることは間違いないようです。

しかし、頭が良いと素晴らしい人生が待っている!とまだまだ考える人が多いことは現実です。

幼児教育に携わっていると、様々な考え方の親御様に出会います。

絶対公務員と考える方や自由な道を自分で選べば良いと考える方、取り合えず国公立の大学に行っておけば何とかなる、と考える方。

ほんとうに一長一短。

自分の10代を振り返ってみても解るように、子どもは決して親の思う通りにはならないものなんですが、そんなこと解っていても精一杯に子どもの為を思うのが親と言うものですよね。

究極は、楽しいと思える人生を送って欲しい、ただただそれだけです。

子どもが神話や観念に縛られなく楽しい生き方ができるように、どれだけ助けらてあげられるか、だと思います。

結局、モーツァルトの音楽も素晴らしいと感じるのであれば、頭が良くならなくても関係なく聞いたり演奏したりすればいいのです。ね。